教訓 生き方の知性を付けよ(2007年4月)


「かしこい」ってどういうこと?
 テレビで明石家さんまさんの司会ぶりを見ていると「かしこい」と思う。一方で失言を繰り返す大臣は「バカだな」と感じる。

 さんまさんは学生時代、特別な秀才だったというわけでもない。だから人間は学業だけではないはず。

 でもIQ(知能指数)は、半世紀以上も人間の能力を測る基準の王座に座っている。週刊誌も有名大学合格者数の速報を載せる号は売れているし。結局、かしこいの基準はペーパーテストで判断できる能力? ダニエル・ゴールドマン氏(心理学者)は1995年は『EQ〜こころの知能指数』という本で、一つの対案を出した。

 心(感情)をコントロールする能力が大事なのだ、と。IQがどんなに高くても、感情のコントロールが下手だと集団作業ができないし……。この考え方は、かなり受け入れられた。

 で、今年出た氏の続編『SQ〜生きかたの知能指数』(日本経済新聞出版社)では「社会的知性」の大切さを説いている。それは次の二つの能力。「他人から何を感じるか」と「その上でどう動くか」。

 前者は言語+非言語情報を手がかりに相手の感情や思考を読み取る力。後者は相手との関係の中で自分の望む結果を追求する力(相手の要求に応える力)。

 そう考えると、その場の空気を読んで、的確に受けて、面白い反応をしそうなゲストに話を振るさんまさんは、社会的知性のある人である。逆に、空気が読めなくて、周囲に不快感撒き散らす人は、「いくら学業ができてもねえ……」といわれることになる。

 社会的知性のある人は、「かしこい」といえそう。 どうやって、社会的知性を付けるか?

 私の考えを記す。生身の人間をしっかり観察し、表情、場の空気を読む癖を付けること。また、尊敬できる人の非言語コミュニケーション能力を盗むこと。